あらすじ
「邪魔だ」——夜会の場で、王太子は婚約者エリザに冤罪を着せ、国外追放を言い渡した。
エリザは反論しなかった。「分かりました」と微笑んで、国を出た。
……その瞬間、王国の大結界にヒビが入ったことを、誰も知らない。
三百年間、国を守り続けた大結界。その正体は、エリザがたった一人で、毎晩魔力を注いで維持していたものだった。本来なら宮廷魔導師十数人がかりの仕事を、十年間、誰にも知られず。
一方、追放されたエリザは国境の森で、隣国の「冷徹皇帝」アルベルトに拾われる。彼は一目で見抜いた。彼女の全身に刻まれた、国家級術式の摩耗痕を。
「捨てたのではないな。あの国には——査定する能力がなかっただけだ」
ふかふかのベッド。焼き立てのスフレ。生まれて初めての溺愛。
その頃、祖国では結界が消滅し、三百年ぶりの魔獣が国土を蹂躙し始めていた。
泣きついてくる元婚約者に、エリザは静かに告げる。
「十年間で、今日が一番、たくさんお話しできましたね。——お元気で」
これは、価値を測られ続けた少女が、初めて「ただの人間」として愛される物語。
※ざまぁ完遂します。ヒロインは戻りません。全10話完結済み。