あらすじ
異世界に、まもなく行ける。だれもが、分け隔てなく、恐らくは50%より高い確率で。
国家がひた隠しにする「数理の絶望」を暴く、リアル度100%の経済社会SFパニック小説。
異世界転生×経済地政学スリラー
【あらすじ】
「若者の皆さん朗報です! 国の年金は100年安心、将来の生活は100%保障されます!」
都内の小綺麗なセミナールームで、お花畑な綺麗事を並べるファイナンシャルプランナー。
温かい拍手に包まれる会場で、佐藤(さとう)は冷え切った目で手元のスマホを見つめていた。
佐藤はかつて、最先端のITスタートアップを経営していた男。
しかし数年前、赤字だろうが容赦なく牙を剥く国家の暴力装置――『社会保険料の会社負担分』の滞納によって口座を凍結され、人生のすべてを圧殺された昏い影を持つ人物だった。
彼はハッキングにより厚労省の極秘財政検証ファイル『NEMESIS(ネメシス)』を手に入れる。そこに隠されていた真実とは、少子高齢化を前提とした「平時」の欺瞞を根底から覆す、驚愕の試算だった。
政府が喧伝する将来貰える年金の「所得代替率50%」という数字は、令和の今や絶滅危惧種となった「専業主婦世帯」を前提としたファンタジー。独身の単身世帯がもらえるリアルな平時代替率はわずか35.2%に過ぎない。
だが、真の絶望はそこからだった。
『NEMESIS(ネメシス)』は、ありふれた公開情報を組み合わせた試算にすぎない。
だが、それが明るみに出た時、世界の貪欲なハゲタカどもが動き出し、金融動乱がはじまった。