あらすじ

家賃が異様に安い、築浅の4階建てマンション最上階・402号室。 引っ越して三日目の深夜二時十七分、天井から聞こえた。 ――コッ。 ただ一歩。 上には屋上と、封鎖された機械室しかない。誰もいないはずの場所から聞こえる、たったひとつの足音。翌晩は、二歩。その次の晩は、三歩。 日を追うごとに、天井を歩く「何か」は着実に近づいてくる。 管理会社は「上には誰もいません」の一点張り。ネットで検索しても、同じ間取りの部屋に住んでいた前の住人の記録はどこにもない。 ただひとつ、この部屋の掲示板の隅に、消えかけたボールペンの走り書きが残されていた。 「かぞえるな」 唯一頼れる幼馴染は、心霊音声を専門に扱う配信者。彼の助言はいつも同じだった。 「聞こえても、数えるな。数えた瞬間、向こうにも“聞こえている”ことが伝わる」 だが人間は、無音の中で音が鳴れば、無意識に数えてしまう生き物だ。 一歩、二歩、三歩――。 そして今夜、四歩目が鳴る前に、唯の意識は、もう数え始めてしまっていた。

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小説を読もう2026/07/03
  • 現在の作品『七歩目』 天井から聞こえる足音は、数えてはならない。