あらすじ
王都の裏路地で寂れた仕立て屋を営む不器用なお針子、リディア。彼女の縫う服は「絶対にほつれない」という不思議なほど頑丈な作りだった。
ある雨の夜、彼女の店に銀の仮面をつけた訳ありの青年が現れる。
「俺に、最高の『死に装束』を仕立ててくれ」
青年の正体は、周囲の命を無差別に奪う過酷な業を背負った王子・シラスだった。彼は自らを犠牲にして世界を守るため、死後も呪いが漏れ出さない「絶対にほつれない服(棺)」を求めていたのだ。
呪いの冷気を放ち、他者を遠ざけながらも、どこまでも優しく不器用なシラス。
彼の孤独と自己犠牲の覚悟に触れたリディアは、彼を一人で死なせまいと決意する。
「こんなもの……棺桶なんて、私が作るもんか」
彼を世界から隔離する『封印』ではなく、彼を自由に羽ばたかせるための『解放』の祈りを込めて。