あらすじ
家賃の安さに惹かれて、フリーランスの音声編集者・苅谷澪(かりや・みお)が引っ越した築四十二年のアパート「木霊荘」。
初日の夜、何気なく手を叩いた澪は気づいてしまう。壁の向こう、誰もいないはずの隣室から、確かに音が返ってくることに。
一度、二度、三度――。
数えるたび、返ってくる音は、澪が立てた回数より必ず「一つ多い」。
空耳だと笑い飛ばしていたのは、最初の三日間だけだった。
四日目の夜、澪はその「多い一音」に、うっかり応えてしまう。
「……何?」
たったひと言。それだけで、澪の部屋の静寂は、二度と元には戻らなくなった。