あらすじ
私の夫は、病的なほどの潔癖症だった。
結婚して三年。コンビニのホットスナックさえ「汚い」と顔をしかめるような人だったのに、ある夜、彼は私の目の前で浴槽のそばに跪き、私が一番信じていた親友に媚びるような目を向けていた。
さらに滑稽だったのは、彼が離婚を迫ってきたことだ。
マンションも、預金も、車も、すべて親友に残せ。
私は何一つ持たずに出ていけ、と。
夫に裏切られ、親友に嘲笑われた私は、本来ならそこで完全に心を閉ざしていたはずだった。
けれど、途切れ途切れにかかってきた一本の救いを求める電話が、すべてを変えた。
夫の異常な変化は、ただの不倫ではなかった。
水筒の底に残った白い粉。
いつの間にか接続を切られていた見守りカメラ。
親友の狂ったような独占欲。
私は一つずつ真実を剥がしていった。
そして、自分の手で夫を救い出し、自分の手で親友を刑務所へ送った。
けれど、彼が床に膝をつき、離婚しないでほしいと縋ってきたとき、私が返した言葉は一つだけだった。
「助けたのは、あなたがかつて私の家族だったから。でも、もうあなたの妻には戻れない」