あらすじ
これは、カクヨムユーザーである祐里さんの企画、「文章ブラインドテイスティング。祐里をだませ!」の出品作です。
この企画は面白くて、予め見本作を出し合って読み合い、それと違うペンネームで3000字の短編を投稿し、祐里さんはじめ16名の参加者さんが読んで「これは〇〇さんの作品です!」と当てるというものでした。
わたくしの見本作は「狂気の男」だったのですが、その後「ナザールスプレー30ml」のペンネームで(たまたま目の前にあったのでw)本作を投稿したところ、殆ど全員の方に当てられてしまいました。。「なくて七癖」とはよくいったもので、最後の「(了)」とか、カッコの前に「、」を入れる癖とかで、見抜かれてしまいました。皆さんさすがでした。
本作を書く契機になったのは、2016年神奈川県で起きた「津久井やまゆり園」事件です。園の職員がナイフで入居者19人を刺殺したという痛ましい事件でした。わたくしは当時、人権擁護委員をやっていたものですから、中学生の書いた人権作文に書かれた「許せない」「障害者にも人権がある」「被害者や遺族が可哀そう」といった意見を読み、当然、わたくしも同意見でしたが、他方、この犯人が、一体どのような心境に至って一線を越えてしまったのか、その心情についてはいろいろと考えさせられました。
わたくし自身、精神障害者施設の内情を見る機会もあり、本当に職員の方々が努力と忍耐のもとに使命感を持ってやっているのを見るにつけ、彼のやったことは絶対に許されないし、賛同も尊重もしないけれど、「突き詰めると、そのような心情に至る瞬間はあるかも知れない」と思ったのです。
というような経験をもとに本作を執筆しました。絶対に特定できないように書いてありますが、実際に、わたくしが見聞きした、強度行動障害の方と、職員の方のトラブルをモチーフにしてあります。アップするに当たって、露悪的な描写や、障害者の方に関する描写はマイルドには致しましたが、苦手な方は、どうぞご無理なさらないよう、お願い致します。
最後になりますが、本作は障害者の方を扱い、また介護者の葛藤を描いた作品ですが、もちろんフィクションであり、障害者差別を助長する意図も、揶揄的に書く意図もない事を申し添えたいと思います。