あらすじ
歴史ある伯爵家の令嬢エレノアに下されたのは、王太子からの突然の婚約斡旋。お相手は、北方の戦役で王太子の命を救い、一躍英雄へと成り上がった元平民の大男――ジークハルト男爵だった。
王家が北部へ抱く負い目、そして実家の立場を背負ったエレノアは、「どんな泥水だって優雅に飲み干してみせる!」と悲壮な覚悟で北方の無骨な領地へと嫁ぐ。
プライドを懸けて過酷な北方の暮らしに馴染もうと、泥にまみれ、固いパンを齧り、必死に奮闘するエレノア。しかし、強面なジークハルトはまともに目も合わせず、フイと視線を逸らすばかり。
さらに、過労で豆だらけになった彼女の手を見たジークハルトから「まだ安全も確保できていないのだ。そこまで無理をして馴染もうとしなくともいい」とため息混じりに言い放たれてしまい――。
「私がどんな覚悟でここに来たか、あなたには一生分かりませんわ!」
自身の覚悟を「無駄な努力」と全否定されたと勘違いしたエレノアは、ついに堪忍袋の緒が切れて自室へ引きこもり、完全拒絶モードに突入!
そればかりか、この二週間でエレノアの健気さに完全にほだされていた領主館の侍女や下働きたちをも味方につけ、熊のような大男の領主を部屋の前から完全シャットアウトしてしまう。
しかし、言葉足らずすぎるジークハルトの本音は「小さくて妖精のように綺麗な婚約者が、魔物の脅威が残る土地で無理をして壊れてしまわないか心配でたまらない」という、ただの初心な溺愛で――!?