あらすじ
辺境伯爵家アルディス家の長女・サレマは、両親を亡くした十二歳の日から、幼い弟妹を守るために生きてきた。
やがて家を守るため、王都屈指の名門・ヴァレンシュタイン公爵家へ政略結婚。
だが婚姻を目前に、最愛の妹リリアが突然姿を消してしまう。
数年後。
夫が連れ帰ってきたのは、行方不明だった妹の忘れ形見だという赤ん坊だった。
妹の最後の願いを託されたサレマは、その子を我が子同然に育て上げる。
命を削り、人生のすべてを捧げて――。
十年後。
神童と称えられたその少年は、王国中が見守る晴れ舞台でサレマへ告げる。
『母と偽る女は出ていけ』
さらに突き付けられた真実は、あまりにも残酷だった。
神童は妹の忘れ形見ではない。
夫と妹の間に生まれた、本当の子どもだったのだ。
すべてを奪われ、悪女の汚名まで着せられたサレマ。
しかし彼女は絶望しない。
唯一、彼女の本当の力を知る引きこもりの弟と、忠実な協力者を従え、静かに復讐の幕を上げる。
狙うのは命ではない。
誇りを奪い、居場所を奪い、愛するものを奪い返すこと。
これは、すべてを失った『サレ魔女』が、誰よりも美しく、誰よりも残酷に因果を精算する復讐譚。