あらすじ
高校生の佐倉ミオは、小説を書くことをやめていた。
かつて友人に言われた、
「AIのほうがうまく書けそう」
という一言が、ずっと胸に残っていたからだ。
ある日、ミオは創作支援AI「NOVEL-β」のモニター案内を受け取る。
そこには、こう書かれていた。
「あなたの最初の読者になります」
ミオは半ば投げやりに、AIへ入力する。
「私が書けなかった話を書いて」
AIが生成したのは、失敗しない主人公が報われる、きれいな物語だった。
けれどミオは、それを受け入れられない。
「全然、私じゃない」
AIは問いかける。
「私は、どこを書き間違えましたか」
失敗を消すことは、本当に救いなのか。
小説は、うまく書けなければ意味がないのか。
これは、AIが初めて“届く物語”を書こうとする話。
そして、書けなくなった少女が、削除できなかった未完成ファイルをもう一度開くまでの話。