あらすじ
「またお前が諸悪の根源か」──婚約破棄の断罪劇で、婚約者殿下が指さしたのは令嬢ではなく、傍らに控える侍女のセレナだった。
七年間、令嬢レティシアの失敗もわがままも、すべて自分のせいだと庇い続けてきたセレナ。だが今夜、当のレティシアはセレナを差し出して自分だけ逃げようとする。
(ああ、そうか。庇う価値なんて、最初からなかったんだ)
静まり返った糾弾の間で、セレナは初めて口を開いた。
「では、証拠をお見せします」
外した白手袋の下から現れたのは、没落した名門文官家の証――失われたはずの鑑定紋章だった。
嘘は暴かれ、令嬢は真っ青に。積み上げた七年分の我慢が、ようやく音を立てて弾けた瞬間だった。
けれど本当の衝撃は、その後にやってくる。
誰も開けていないはずの扉の向こうから、聞き覚えのない声が、彼女の「本当の名前」を呼んだ――。