あらすじ
王宮の夜会で、悪役令嬢ヴィオレーヌ・グランヴェールは王太子アクレシスから婚約破棄を告げられる。
彼の隣に立つのは、清らかな聖女イリス。
神に選ばれた聖女と結ばれることこそ王国のためだと、誰もが信じていた。
けれどヴィオレーヌだけは知っている。
聖女が結んだ“運命の糸”は、愛ではない。
王家の血を神殿へ捧げるための、贄の糸だと。
「今夜、あなたは死にますわ」
断罪の場でそう告げたヴィオレーヌは、神殿へ運ばれかけたアクレシスを奪い去る。
連れていかれた先は、黒薔薇の咲くグランヴェール家の温室。
王宮へ戻れば神殿に渡される。
聖女のもとへ行けば魂を縫われる。
あの世にさえ、彼の居場所はない。
ならば、しょうがない。
これは、王国のために死ぬはずだった王太子と、彼の逃げ場を自分だけにしてしまう悪役令嬢の、甘く歪んだ救済の物語。