あらすじ

夫に離婚を告げられた。
相手は、実の妹だった。

三十五歳の佐倉美琴は、十年間、夫のため、義母のため、家のために尽くしてきた元専業主婦。

けれど夫は妹の莉央を選び、母までもが言った。

「お姉ちゃんなんだから、譲ってあげなさい」

夫も、家も、居場所も奪われた美琴に残されたのは、通帳一冊と、亡き祖母が使っていた古い炊飯器だけ。

行き場を失った彼女は、商店街の端にある空き店舗で、夜だけ開く小さなおむすび屋を始める。

塩むすび、鮭むすび、梅むすび、温かい味噌汁。

特別な料理ではない。
それなのに、彼女の店にはなぜか、人生に傷を抱えた人ばかりが集まってくる。

離婚届を出せずにいる看護師。
家に帰れない高校生。
孤独な老人。
夢に破れた会社員。
そして、いつも閉店間際に現れる冷徹な弁護士・黒瀬怜司。

黒瀬は、美琴が夫側に都合よく追い出されたことに気づき、静かに告げる。

「あなたは優しいんじゃない。奪われることに慣らされていただけです」

一方、美琴を捨てた夫と妹は、彼女が黙って背負っていた家事、介護、親族付き合いの重さを知り、少しずつ崩れていく。

「戻ってきてくれ」
「お姉ちゃん、少しくらい助けてよ」

もう遅い。

冷めたご飯を我慢して食べていた私は、もういない。

これは、夫と妹にすべてを奪われた元専業主婦が、夜のおむすび屋で人の心を満たしながら、自分の人生を取り戻していく物語。

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アルファポリス
アルファポリス2026/06/23
  • 現在の作品夫も家も妹に譲りました。なので私は、夜だけ開くおむすび屋を始めます 〜捨てられた元専業主婦の小さな店に、なぜか傷だらけの人ばかり集まってく