あらすじ
戦争が終わって三年。
車工場で働く十八歳の工員レオンは、自分がこの国の人間だと思っていた。
けれどある日、移民局の名簿に自分の名前があると知らされる。
送還を避けるため、レオンが飛びついた方法は――養子を取ること。
養子支援施設で出会った五歳の少女ミラは、大人しくて聞き分けの良い子に見えた。
でも本当は、よくしゃべる。
ただし、本当に大事なことだけは言わない。
最初は、自分が残るために始めた書類だけの関係。
けれど、椅子、皿、朝の警笛、学校、洗濯、休日、名前の字。
小さな生活を積み重ねるうちに、レオンは少しずつ「保護者になる」とは何かを知っていく。
浅くて陽気な若い工員と、よくしゃべるけれど傷を隠す少女。
拾ったつもりだったレオンが、いつの間にか拾われていく、家族未満の日常物語。
※恋愛ものではありません。未熟な青年と小さな少女が、少しずつ家族に近づいていく話です。