あらすじ

長坂の戦いに、私もおりました。 ただし、荷車の上です。 父は劉備玄徳―― 世に仁君と呼ばれる方。 母は糜夫人―― 後に烈女として語られる方。 弟は阿斗―― 後に皇帝となる子。 そして私は、史書に名前の残らなかった劉備の娘でございます。 曹操軍の追撃を受け、民とともに逃げる劉備一行。 その混乱の中、私と妹は輜重隊の荷車に乗せられておりました。 父は民を捨てない。 母は弟を抱いている。 趙雲殿は弟を救いに走る。 後世では、美談として語られるのでしょう。 では、荷車の上にいた娘二人は、いったい誰が覚えていてくれるのでしょうか…… 名を残されなかった姉・劉明珠と、無邪気な妹・劉玉珠。 長坂で、ほとんど誰にも顧みられなかった劉備の娘たちは、曹魏に捕らえられ、漢室の血筋として、捕虜として、そして政治の駒として生きることになります。 父は仁君、母は烈女、弟は皇帝。 それは結構なことでございます。 ――では、その美談の欄外に押し出された娘の話も、少しくらい聞いていただけますか?

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小説を読もう2026/07/02
  • 現在の作品父は仁君、母は烈女、弟は皇帝――私は十三歳で捕虜になりました――