あらすじ

「涙を見せぬ女など、聖女に値しない」――大聖堂の断罪劇場で、王太子レオンはそう言い放った。 この国の聖力は『涙の量』で測られる。涙を流すほど神聖とされる倒錯した価値観の中で、玉ねぎで涙を演じる『真の聖女』ミレーユに、観衆は感動のすすり泣き。一方アリシアは、鑑定石に『偽=無能』と弾かれ、一滴も泣けないまま立ち尽くしていた。 だが彼女の前世は、現代日本の緩和ケア病棟の看護師。患者の涙を拭い続け、自分は最後まで泣けずに過労死した三十四歳。茶番を見抜きながらも、彼女は喚かず、縋らず――ただ母の形見の木綿のハンカチを握りしめ、静かに告げる。「聖女を辞めさせていただきます」と。 腐った国の中枢に背を向け、たどり着いた辺境の地。そこで彼女が見出したのは、誰にも知られなかった本当のギフト【共感(エンパス)】。涙を『流す』のではなく『受け止め』、悲しみを浄化し治癒へと変える力だった。 泣けない聖女が、他者の涙を拭う。彼女の優しさを、まっすぐに必要としてくれる人々がそこにいた――。 婚約破棄ざまぁ+癒やしの異世界転生短編、完結。スカッと爽快、そして心温まる物語をどうぞ。

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小説を読もう2026/07/02
  • 現在の作品婚約破棄の断罪劇場で泣くお前に、聖女が木綿のハンカチを差し出すまで(※スカッと異世界転生・短編完結)