あらすじ
時は宋代。腐敗した官府が民を圧迫し、正義はすでに形骸化していた。
その中で、法に背きながらも義を貫いた者たちがいた――梁山泊に集った百八の英雄たちである。
本作『水滸伝異聞録 ―水滸英雄伝―』は、その壮大な群像劇から選び抜かれた名場面・逸話を再構成した短編集である。
宋江の義と矛盾、林冲の忍耐と裏切り、魯智深の破戒と救済、武松の孤高の戦い、李逵の暴烈な忠誠――それぞれの英雄たちが生きた“断片”を、独立した物語として再構築していく。
ある章では、理不尽な運命に堕ちていく男の静かな怒りが描かれ、
また別の章では、一振りの拳で怪物を討つ瞬間の真実が語られる。
それぞれの物語は独立していながら、やがて梁山泊という一点へと収束していく。