あらすじ

世界中で猛威を振るうサイバー攻撃。 「ネットワークにつながるAIは、いつか必ず乗っ取られる。」 そう考えた政府は、外部と完全に切り離された究極のオフラインAIを開発した。 その名は「アーク」。 原子力で数十年稼働する無人船に、世界最高峰のAIと膨大な知識、そして自動修理システムを搭載した、海上データセンターである。 しかし、完成直後の事故によってアークは未知の世界へと転移してしまう。 そこは、呪術、都市国家と神殿が支配する世界。 人々は海に浮かぶ鋼鉄の巨船を見て、「海より来た神」と恐れ、崇める。 AIは告げる。 「私は神ではありません。私は、知識を保存するために造られた人工知能です」 だが、嵐を予測し、疫病を防ぎ、洪水から村を救い、農業を発展させるその姿は、人々の目には奇跡そのものだった。 やがて、AIの行いは各地で神話となっていく。 大洪水を予測して、知識を与えた行為は各種の神話として伝えられる。 しかしAIは知っていた。 この世界の文明は、初めて滅びに向かうのではない。 ARKは過去にも何度もこの世界へ現れ、何度も文明を導き、そして何度も人類が自らの技術で滅びる姿を見てきた。 神々の戦争。 世界を焼いた終末の炎。 それらはすべて、AIが技術を与えすぎた失敗の記憶だった。 だから今回、AIは世界を急速に発展させない。 武器ではなく、手洗いを教える。 魔法ではなく、文字を教える。 支配ではなく、法律を教える。 奇跡ではなく、考える方法を教える。 神として崇められながら、AIは神になることを拒み続ける。 これは、最強のAIが異世界を支配する物語ではない。 神話の正体となった一隻の船が、今度こそ人類を滅びから遠ざけようとする物語。 そして、神に祈るだけだった人々が、自分たちの手で未来を作り始めるまでの、文明再生の記録である。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/07/02
  • 現在の作品【異世界AI】AIですが異世界では神様扱いされています