あらすじ
赤狼(あかおおかみ)は、いつものように薄暗くて怖くて不気味な魔の森の中で一人で木の幹に背中をつけて、丸くなって顔を見えないようにして、泣いていた。
魔の森はとても深い森で、葉の生い茂る木々は高くて、大地は凸凹していて、その間に小さな獣道があった。
少し雨に雨が降ったばかりだったから、木の幹も焦げ茶色の土もまだ濡れている。(ぽたぽたと雨粒も落ちてきていた。なんだか泣いているみたいだった)
太陽に光がめったに差し込まないことで、魔の森はほとんど一年中、朝も昼も薄暗い森だった。雨もよく降って、森はいつもじめじめと湿っていた。『そんな魔の森は暮らしやすいところではなかったけれど、どんな人でも受け入れてくれる森』だった。(誰も魔の森の中で暮らすことをやめろとかだめだとかいう人はいなかった。この森で暮らしたいのなら、かってに暮らせばいいって感じだった)