あらすじ
処刑台の上で、私はお嬢様の名を呼びながら灰になった――はずだった。
目を覚ますと、そこは五年前。「ただの侍女」と侮られながら、侯爵邸に初めて足を踏み入れたあの朝だった。左手首に浮かぶ、うっすらと透ける呪いの痣だけが、あの絶望が夢ではなかったことを教えてくる。
やり直せるなら、今度こそ迷わない。お嬢様・ヴィオレッタを死へ導く「裏切り者」を、誰よりも先に見つけ出す。たとえこの身が朽ち果てても構わない。
けれど出仕初日、初対面のはずのお嬢様は、私の手首をそっと掴んでこう囁いた。
「――その痣、知っているわ。あなた、前も死んだでしょう?」
覚えていたのは、私だけではなかった。