あらすじ
春の柔らかい日差し、古い茶屋街、来世まで縁が続くという「結びの鐘」。
高校の卒業旅行として訪れたS県T町で、俺たち幼馴染3人は、これからもずっと当たり前の日常が続いていくのだと信じて疑わなかった。
――その夜、宿の女将から「地図から消えた廃村」の噂を聞くまでは。
「ねえ、ちょっとだけ行ってみない?」
普段ならホラーを嫌がるはずの琴音が、異常な熱を帯びた瞳でそう提案してきた時、俺は気づくべきだった。
彼女がこの旅行を提案した本当の理由に。
あの夕暮れの鐘の下で、彼女がどんな覚悟で俺たちの幸せを祈っていたのかに。
これは、愛する者を生かすために死を選ぼうとした少女と、理不尽で悍ましい因習に巻き込まれた俺たちの、血と泥に塗れた最後の旅行記。