あらすじ
ある夏の日。
世界中の空に、巨大なデジタルカウントダウンが突如として現れた。
029:23:59:59
秒単位で減り続けるその数字の意味を、誰も知らない。
政府も、科学者も、世界中の誰一人として答えを見つけられなかった。
そして翌日。
一人の人間が、何の前触れもなく赤い飛沫となって世界から消えた。
そこから人々は悟る。
この数字は、人類に残された時間なのだと。
世界は混乱した。
けれど、人々はやがて受け入れる。
学校は続く。
仕事も続く。
電車は走り、コンビニは営業を続ける。
最後くらいは、いつも通りの日常を過ごそう――。
高校三年生の朝倉凛もまた、変わらない毎日を過ごしていた。
親友、幼なじみ、家族、大切な人たち。
誰が明日消えるのか、誰にも分からない世界で。
そして世界が終わる日。
凛もまた、赤い光となって消えた。
……はずだった。
目を覚ますと、そこは再び「世界が終わる30日前」。
しかし今度の世界は、ほんの少しだけ違っていた。
昨日まであった建物がない。
いたはずの人が存在しない。
それでも空の数字だけは、何事もなかったように時を刻み続ける。
これは、終わることが決まった世界で、何度も30日を繰り返す少年の物語。
そして――
「忘れないでね。」
その一言が、世界の運命を少しずつ狂わせていく。