あらすじ

王宮の北棟には、古い温室がある。 そこで咲く王家の花、レーヴェンローゼ。 昼は白く、夜は赤く染まるその花は、王国の象徴として長く愛されてきた。 王太子アルノルトの婚約者である公爵令嬢エルゼヴィーラ・ローゼンヴェルは、誰より美しく、誰より完璧で、誰より王太子妃に相応しい令嬢と称えられていた。 けれど、花の品評会と呼ばれる夜会の席で、彼女は婚約破棄を告げられる。 完璧すぎて、心が見えない。 そう告げられた夜、温室の奥にある開かずの鉄扉の向こうから、音がした。 こつん。 黒い爪が、内側から扉を叩くような音。 導かれるように地下へ降りたエルゼヴィーラは、そこで王宮が長く隠してきたものを知る。 美しいと言ってはいけない。 誰かより美しいと言ってはいけない。 可哀想だと言ってもいけない。 もし夜、どこかで「こつん」と音がしたなら。 ただ、言わなければならない。 あなたです、と。

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小説を読もう2026/07/02
  • 現在の作品標本花の令嬢は、夜ごと地下で咲き返る