あらすじ
「私は、本当の愛を知りたい」
――その一言で、侯爵令息アシュトン・グランヴェルは、幼い頃からの婚約者であり、誰よりも大切な存在だった伯爵令嬢リディア・フェルナンとの婚約を解消した。
いつも隣にいてくれることが当たり前だった。
だからこそ、彼は気づかなかった。
彼女の涙脆いところも。
小さな幸せに笑うところも。
自分の話を誰よりも真剣に聞いてくれるところも。
そのすべてを、愛していたのだと。
だが、ようやく自分の本当の気持ちに気づいた時、リディアが乗った馬車が崖から転落し、死亡したという知らせが届く。
「遅すぎた」
絶望したアシュトンは、それでも彼女の死を信じることができず、たった一つの希望を胸に、彼女を探し続けた。
そして半年後。
辿り着いた海辺の町で、彼は一人の少女と出会う。
栗色の髪。
優しい笑顔。
そして――自分のことを覚えていない婚約者。
これは、失って初めて愛を知った男と、ずっと愛し続けていた少女の、少しだけ遠回りをした恋物語。