あらすじ
二〇二二年七月、日本は分裂した。
四年後。国境、港、学校、医療、配給、そして名前までもが、別々の紙で管理されるようになった世界で、旧南第三と呼ばれる学校跡には、行き場を失った子どもたちが集められていた。
弟・真柴健二は、子どもたちに名前を思い出せと迫らない。ただ、食事を用意し、記録を残し、いつか自分の名前で「ただいま」と言える日を待ち続ける。
兄・真柴直樹は、その学校を守るため、自分の名前を外へ置いていく。港へ、国境へ、闇市場へ。子どもたちの帰る道を塞ぐものを止めるために。
これは、国が割れた後の日本で、名前を奪う者たちに抗い、子どもたちの帰り道を残そうとする兄弟の物語。