あらすじ
親の転勤で、見知らぬ街の高校へ転校することになった瀬戸拓海(せと たくみ)。憂鬱な気持ちで教室のドアを開けた拓海を迎えたのは、クラスの中心で、誰よりも眩しく笑う女の子、織原葵(おりはら あおい)だった。
誰もが彼女に憧れ、彼女を中心に世界が回っている――そう思っていた。
だが、雨の降るある日。拓海は偶然、事故現場で一人、傘もささずに、ただじっとアスファルトの一点を見つめて立ち尽くしている葵の姿を目撃する。その横顔は、学校で見せる笑顔とは似ても似つかない、絶望に満ちたものだった。
クラスメイトの松永太陽(まつなが たいよう)から聞かされた、残酷な真実。
彼女の心は、高校一年のあの日、大好きな彼を亡くした交差点で、今も立ち止まったまま。
「どうしてそんな、無理をして笑っていられるの?」
隠しきれない傷を抱え、あの日から止まってしまったメンズの腕時計を抱きしめる彼女に、過去を知らない「転校生」の拓海が、今できることは――。
クラスで一番賑やかな教室の片隅で紡がれる、痛くて、愛おしい、再生の青春ラブストーリー。