あらすじ
江戸の呉服屋の娘・結音には、心を通わせる恋人がいる。
相手は、礼儀正しく穏やかな青年――伊庭八郎。
人前では節度を忘れず、それでもふたりきりになれば驚くほど甘く結音を愛してくれる人だった。
穏やかな逢瀬を重ねる日々の中、結音の前に幼なじみ・朝倉恒一が現れる。
懐かしい思い出を共有する彼の存在は、結音の心を揺らしはしない。けれど、伊庭の静かな嫉妬と、胸の奥に秘めた独占欲を浮かび上がらせていく。
昔を知る人。
今を見つめてくれる人。
その狭間で結音が選んだのは、ただ一人、伊庭八郎だった。
やわらかな春の江戸を舞台に描く、
すでに恋人同士であるふたりが、あらためて互いを選び合う甘やかで切ない恋物語。