あらすじ
「12分間だけ過去に戻るタイムリープ」
誰もが羨むその超能力の発動条件は、あまりにも不条理だった。
【条件:中華チェーン『餃子の帝王』の焼き目が“黄金比”に到達した瞬間を直視すること】
俺は毎日、油まみれのレジ袋の裏に焦げ目の数値を記録し続ける。
すべては、誰も触れることのできない空白の12分間を手に入れるため。
だが、運命の12回目のリープが訪れた瞬間、俺は気づいてしまった。
鉄板に向かって黙々とフライパンを傾ける52歳独身店長の後ろ姿。
その無骨な背中のリズムは、10年前に失踪した俺の「母親」と完全に一致していたのだ――。
「世界の本質は、誰かが誰かのために油を引く量だ」
号泣する俺。
加速する自意識。
美しく結晶化するエモ。
だがその直後、宇宙の全因果律を叩き潰す「52歳のおっさんの現実」と「白い粉末」が俺の顔面に音速で炸裂する!!!
爆笑の直後に首の骨が折れるほどのフリーフォール。
カオスと虚無の果てに、口の中に残ったジャンクなタレの味。
すべての「意味づけ」を拒否する、最狂の12分間ループ×チェーン店文学。