あらすじ
文章生成AI「KOTODAMA」が書いた小説は社会現象となり、出版社は次々と人間の作家を切り捨てていく。
売れない純文学作家・朝倉仁は、生活のために恋愛ゲームや企業ブログを匿名で書くゴーストライターだった。しかし、その仕事さえもAIに奪われ、名前のない文章だけが世の中にあふれていく。
「AI作品には著作権はない。」
その一言を聞いた瞬間、仁は疑問を抱く。
――では、その言葉の責任は誰が負うのだろう。
元恋人であり、AI推進を率いる編集長・九条真琴は、「作家を守るより出版社を残す」と言い切る。新人編集者・立花詩乃は「面白ければ作者なんて関係ない」と信じ、文章生成AI・KOTODAMAは、人間の感情を完璧に分析しながらも、「責任」という概念だけは理解できない。
仕事も居場所も失った仁は、それでも万年筆を握り、自分の名前で小説を書くことを選ぶ。
「著作権がないって、じゃああるようにしてやろうじゃないの。」
赤字続きの小さな杉本書店を舞台に、一人の作家が、自分の言葉のすべてを背負って書き続ける。
AIと人間、効率と創作を描く物語ではない。
これは、「人はなぜ、自分の名前で書くのか」を問い続ける、一人の作家の討ち入りの物語。