あらすじ
平凡な高校生の羽口奏には、すべてを捧げてもいいと思える幼馴染・早谷七海がいた。
梅雨の六月、二人が交わした「七夕の花火大会へ一緒に行く」という約束。それが、確定した幸福の形だと信じて止まなかった。
しかし、約束は一瞬にして崩れ去る。
学校の「王」として君臨する二個上の先輩・蓮田玲生による、あまりにも残酷な略奪。
理由も分からぬまま引きこもった奏の元に届いた、七海からの不可解なメッセージ。
――『お願い、花を枯らさないで』
傷心のまま一人で向かった花火大会の夜、会場は甘ったるい刺激臭と共に、数千人が血の泡を吹いてのたうち回る「地獄の屠殺場」へと変貌した。
自らも内臓液に溺れ、凄惨な死を迎えた奏。だが、次に目を覚ました時、彼は「あの約束の日」の雨の中に立っていた。
なぜ彼女は裏切ったのか?
あの毒ガステロを仕掛けたのは誰なのか?
優しく微笑むかつての七海を前に、奏の心に宿ったのは、冷徹で狂暴な復讐の炎。
慎重さは破滅を呼び、生半可な正義は蹂躙される。
これは、死ぬたびに人間性を削ぎ落とし、冷酷なる復讐者へと変貌していく一人の少年の、果てしない反逆の記録。
――今度こそ、君と大輪の火を見るために。俺は何度でも、死線を超える。