あらすじ
様々なものに恵まれたが、異常な身体能力故に他者と触れ合う事が出来なかった、軍人のアルトリウス。体が頑丈で治癒能力が高い薬屋の少年イクス。
血と欲望と狂気が渦巻く混沌とした街で、人を「獣」と呼ばれる怪物に還る薬、人間や怪物や人外が起こす事件に巻きこれながら、人間や自身と向き合う話。
BL、TS、GLなどの要素と表現がありますが、それらはあくまで副題の一部のようなものであり、タグは付けていません。多少露骨な表現がある個所もありますので、苦手な方はそういった表現のある場所を読み飛ばすか、読み流してください。
とある町である貴族の別宅が獣に襲撃をされる事件が起きる。火事も起こり、多くの使用人達が亡くなった。その犠牲者の中に中流層から貧困層が住む外町の教会の修道女が一人巻き込まれていた。
それを調査していた軍人のアルトリウス・アーネンエルベは違和感を持ち、一人調べ始める。それを調べようとしている矢先に、事件が起きた別宅跡地に花束を供える少年と知り合う。
その少年は外町に住んでおり、亡くなった修道女とも顔見知りだったと話す。強い女性で、面倒見が良く、けれど聡明で、きちんと物事の線引きをする人だったと、少年は答えた。
アルトリウスの外町の教会を訪れようとした矢先、別宅であった少年と見知らぬ少女がごろつきに絡まれている現場に出くわしてしまい、それを助ける事になる。お礼をしたいという不思議は雰囲気を纏う少年—―イクスと、口がきけない少女マリアに案内してもらい、共に教会を訪れる事になる。
イクスとマリアの家は薬やを営んでおり、薬に使う薬草を教会で育てて貰っているのだという。
別の日に薬屋を訪れたアルトリウスは、イクスに教会周りの町の案内を頼み、後日二人で歩いていると大柄で厳つい雰囲気で強面の男性に出会い、彼は薬屋の常連客で病に伏せる妹の薬が早急に欲しいらしく、イクスとアルトリウスはそこで解散する。
深夜の闇の中を動く怪しげな人間達がおり、彼らを「獣」が襲撃する。
その場にアルトリウスが駆けつけ、「獣」を圧倒するが、止めを刺そうとしたところにイクスが割って入る。倒した襲撃者の一人が突如として「歪な獣」となって襲い掛かるが、アルトリウスが仕留めている間に、イクスは異常な状況下でも顔色一つ変えずに「獣」を庇って逃がす。
残されたアルトリウスが破壊衝動を堪える中、イクスは微笑みを浮かべて、アルトリウスを抱きしめてくれる。
反射的に抱きしめてしまい、自責の念を抱いたアルトリウスだったが、イクスはアルトリウスが強く抱きしめても壊れる事がない。
初めて出会った触れられる存在と他者のぬくもりに、アルトリウスは歓喜する。