あらすじ
人は生まれた時、小さな「生命の種」を握ってこの世に生まれる。
その種は生命の木となり、一人ひとりの人生を静かに見守り続ける。そして命を終えると、生命の木は白い砂となり、世界の果てにある「刻の海」へ還っていく――。
刻の海でただ一人、生命の砂を管理する青年・リュウカは、砂に触れることで亡き人々の記憶を読むことができる。しかし、三十年ごとに訪れる「再起」によって、自らの記憶を失い続ける宿命を背負っていた。
一方、宿屋で育った少女エマは、自分が生まれた故郷を探すため旅に出る。そこで出会ったのは、感情を表に出すことの少ない、不思議な青年リュウカだった。
それぞれに帰る場所を探す二人の旅は、やがて命の巡りと、失われた記憶、そして名前に秘められた意味へと繋がっていく。
これは、忘れてしまう者と、それでも想いを残そうとする者たちが紡ぐ、静かな祈りの物語。