あらすじ
九州南方の海底で始まった、誰にも気づかれないほど微細な揺らぎ。それは、国のかたちを静かに変えていく前兆だった。研究者は淡々と記録を積み重ね、行政は声を荒げることなく備え続け、社会は日常のまま流れていく。
そして――鬼界カルデラが破局噴火した。
日本列島に残ったのは、ひとつの大地、北海道だけ。
灰に沈んだ国のあとで、人々はどこへ向かい、何を選び、どのように新しい暮らしを紡いでいくのか。
恐怖でも英雄譚でもない。名もなき人々の選択が折り重なって生まれる、“北辰の国”の静かな未来を描く、記録のような物語。