あらすじ

一滴の洗剤の減りすら、私は目盛りで支配している。 地方から出てきた女子大生・夏実にとって、下宿先のアパートは完璧な「均衡」が保たれた聖域だった。しかし、恵まれた実家暮らしの恋人・秀明は、無自覚な浪費でその静かな秩序を脅かしていく。 ある日、祖父の形見であるビートルズの超希少レコード『ブッチャー・カバー』が部屋から消失したとき、夏実はすべてを悟る。 秀明が背負ってきた巨大な悪意。そして、彼が最も憤るべきなのは、自分自身の浅ましい「手癖」なのだと。 「秀ちゃん、あなたの表紙を剥がしてあげる」 それは、おじいちゃんから受け継いだエメラルド色の箱を開く合図。 スピーカーから流れるベルリオーズの『幻想交響曲』。 奥歯でバリバリと噛み砕かれる、いちごみるくの飴。 これは、世界を正しく片付けるための儀式。 均衡に囚われた少女が冷徹に執行する、戦慄の「整理整頓」ヒトコワホラー。

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カクヨム
カクヨム2026/07/01
  • 現在の作品なっちゃんは奥歯で飴を噛む