あらすじ

恋人役を演じる。 ただ、それだけのはずだった。 白凪学園には、事情を抱えた生徒のために用意された特殊制度がある。 それが、一定期間だけ“交際相手”を演じることで、周囲の視線や外部からの圧力、厄介な人間関係から依頼人を守る交際補助制度。 その制度の担い手である桐生蓮は、誰よりも優秀な補助士だった。 必要な時だけ近づき、相手を楽にし、救い、そして終わる時にはきちんと引く。 優しく、誠実で、決して一線を越えない。 それが桐生蓮の正しさだった。 けれど、その“ちょうどいい優しさ”に触れた少女たちは、やがてみな、ただの役として彼を見られなくなっていく。 明るく人に愛される配信者、星坂めぐる。 選ぶことを許されずに育った名家の少女、九条翠。 全部分かっていたのに、心が追いつかなかった静かな書き手、篠宮紬。 彼女たちの想いは、それぞれ違う形で蓮の中へ残っていく。 だが蓮は、誰かを救うことはできても、自分だけは感情の当事者にならないよう、ずっと一線を引き続けていた。 そんな彼の前に立ちはだかるのが、制度の監査を担う少女、皇莉子。 彼女だけは、蓮の優しさではなく、その優しさの歪みを見抜いていた。 「あなたの仕事は正しい。でも、その正しさだけでは足りない」 これは、誰かの恋人を演じ続けてきた少年が、誰かの隣に立てるのかを問う物語。 優しさは、ときに人を救う。 そして同じくらい、傷つけもする。 その痛みの先で、少年はようやく自分自身の恋と向き合う。 これは恋人役から始まる、痛くて優しい青春ラブストーリーである。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/07/01
  • 現在の作品君の恋人を演じる、それだけのはずだった