あらすじ

月国の第二王女セレネは、太陽国の王太子へ嫁ぐために育てられた王女だった。 創世神話では、太陽神リザーブは月神ティアを愛し、その光を昼と夜に分け与えたという。 その二神から生まれた双つ月は、夫婦仲をあらわすように片時も離れることなく、星空に浮かぶ。 二柱の神が結ばれたという神話になぞらえ、月国と太陽国は古くから婚姻によって和を結んできた。 セレネもまた、太陽国の王太子妃となるはずだった。 ただし本来、彼女が嫁ぐ予定だったのは、今の王太子アレクシスではない。 亡き第一王子だった。 兄王子の死により、第三王子だったアレクシスは金の瞳を持つ「太陽神の面影」として王太子に選ばれた。 兄の席を継ぎ、兄の婚姻を継ぎ、兄の妃になるはずだったセレネを迎えることになった彼は、婚礼の夜、冷静に告げる。 「公の場では、神話どおりの夫婦を演じていただきます」 これは、両国のための契約結婚。 私情は不要。 二人は理想の夫婦を演じるだけ。 そう理解していたはずだった。 けれど、太陽国の宮廷でセレネが月国の誇りを失わずに立とうとするたび、アレクシスは少しずつ彼女から目を逸らせなくなる。 セレネもまた、冷たく見える彼の奥に、兄への罪悪感と王太子としての孤独があることを知っていく。 月を捨てれば太陽国の妃として受け入れられる。 太陽に背けば月国の姫として誇りを守れる。 けれど、どちらか一方だけを選べば、この神話婚の意味は失われる。 神話どおりの夫婦を演じるはずだった二人が、失われた約束の先で、自分の意思で互いの隣に立つまでの婚姻譚。 ※短編「月国の第二王女ですが、太陽国の王太子とは理想の夫婦を演じるだけの契約結婚のはずでした」 をもとにした長編版です。 短編未読でもお読みいただけます。 ※AI補助利用について 誤字脱字の校正、外国語の意味の確認に利用しています。

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カクヨム
カクヨム2026/07/01
  • 現在の作品陽月婚姻譚