あらすじ
人前で話すことが極端に苦手な女子中学生、澄羽張乃(すわ はるの)は、
六月の終わりに控えた学校での発表に強い不安を抱えていた。
何度も練習を重ねても、教壇に立つと視線や緊張に飲み込まれ、
自分がどこにいるのか、何を話しているのかさえわからなくなってしまう。
発表を終えた一週間後、体育の授業で行ったバタフライ。
息継ぎのたびに途切れる景色、酸素の足りない苦しさ、
自分を見失いながらも必死に腕を動かす感覚。その中で澄羽は気づく。
”これは、発表しているときの自分と同じだ”
発表もバタフライも、上手に見せるためのものではなく、“沈まないために必死にもがくこと”なのだと。
これは、緊張に苦しみ、自分を責め続けてきた少女が、水の中で「自分」という存在と向き合い、少しずつ自分自身を受け入れていく物語。