あらすじ
永遠を信じる五十四歳と一瞬に生きる十七歳。冷たい砂の上の静かな共犯関係。
五十四歳のベテラン建築家は、徹夜明けの重い身体を引きずり、再び九十九里の砂浜に立っていた。
視線の先にいるのは、昨日出会った風変わりな少女。彼女は満ちてくる波にさらわれるためだけの砂のお城を、嬉々として作る奇妙な表現者だった。
変化を拒絶し、永遠を信じ込もうとして表現の底を突きかけていた中年男。
大人が喜ぶ「死んだ線」を引くことに馴染めず、予備校の空気の中で息を詰まらせていた十七歳の女子高生。
圧倒的な波音のなかで幕を開ける、一人の表現者の再生の物語。