あらすじ
夢を巣食う夢魔である『鳥』を祓う退魔師『猫』になるため。
そして、ひょんなことから一目惚れをした奉納演舞の舞手、『乙姫様』に会うべく十五歳の少年洋一郎は故郷である離島を離れ、単身月守市へとやってきた。
入学式で、『乙姫様』本人である千夜と運命的な再会を果たすが、ここで予想外の事態が洋一郎を襲う。
ここ、『地礼高等学校』は男子高……初恋の『乙姫様』は男子だったのである!
「……見た目だけで判断しないことだな、僕はお前のような薄っぺらい輩が一番嫌いだ」
千夜は涼やかで儚げな美貌と尊大で苛烈な中味から畏敬を込めて『黒猫姫』と呼ばれる『猫』であった。
洋一郎もまた、ギャップに憧れと初恋を無残に打ち砕かれる。
しかも、『猫』としての四人一組の実地訓練を、千夜と組むことになってしまった。
「せいぜい足を引っ張るなよ、野良猫」
「へいへい、わーってますよ『黒猫姫』様!」
高飛車で自分を見下すような態度が気に食わない。
けれど、ふとした仕草が、たまにみせる不器用な優しさが気になって仕方がない!
チームメイトであり友人でもある正義感の強い学級委員の虎崎やアニメオタクなアメリカ人の堅野、一学年上の先輩である双樹の助けも借り、洋一郎は千夜と共に『夢渡り』を重ねる。
そこで、夢の持ち主の記憶や想いに触れ、それを踏み躙るように寄生する夢魔『鳥』に立ち向かってゆく。
……これは、島から飛び出した若く自由な『野良猫』が気高く美しい『黒猫姫』と出会い、時にぶつかり合い、時に理解し合いながら成長していく物語である。