あらすじ
これは近未来世界を舞台にした、異なる価値観を持つ少年たちが友情を育み、新たな日常を歩み始める物語である。以下、あらすじにネタバレを含みます。ご注意ください。
【つばさ文庫小説賞用あらすじ】
AIと脳を直接連動させる技術(神経接続式AI)が普及し、電力不足を補うため電力供給地域と不供給地域に分かれている近未来世界で、過去のトラウマから他人との関わりを極端に恐れ、神経接続式AI「シュレディンガー」の助言だけを頼りに生きる小学五年生・神崎蓮(レン)。
ある日、レンを取り巻く世界がメルヘンでポップな非現実へと一変し、自身もペリカン頭の姿になってしまう。頼りのAIも沈黙する中、レンは自称宇宙人「サムハルのトト(トト)」や、AI頼りな世界に息苦しさを感じるクラスメイト「月城桂丞(ケースケ)」と出会う。
正反対なレンとケースケの二人は、自由奔放なトトに振り回されながらふたりの行きたい場所を目指すことに。レンの目的地はAIを修理してくれるクラスメイトの天才少女「遠藤瑞希(ミズ)」に会うために学校、ケースケの目的地はAIとは無関係の地域に住む祖父母の家である。
そうしてそれぞれの目的地を目指し奇妙な世界を旅するうち、互いの価値観に触れ、少しずつ影響されていく。
しかしようやく学校が目前、となった時、レンの会いたかったクラスメイトのミズと遭遇する。
ミズいわく、世界が非現実になったのは、あらゆる電気信号に影響を及ぼす信号生命体サムハルが神経接続AIを汚染したためと判明した(トトもそのひとり)。さらには世界秩序を保つため、この非現実を引き起こしていたトトたち異存在の「排除」が開始されつつあるのだと言う。
別れが迫る中、レンは自身のトラウマからトトを拒絶し、傷つけてしまう。後悔に苛まれるレンだったが、ケースケの後押しを受け、初めて自分の意志で行動を開始。トトと再会し、互いの心をぶつけ合い、最後の時間を分かち合うのだった。
別れを経て翌日には日常が戻ったが、レンやケースケは確かな心の変化を感じていた。そしてその日、レンやケースケのクラスに現れたのは、サムハルからの留学生としてやってきたトトだった。