あらすじ

中国・安陽で出会った「由美」という女は、これまでのどんな人間とも異なっていた。言葉は少なく、感情の起伏も乏しい。しかし彼女の内側には、説明できない確信のようなものがあり、それが周囲の現実すらわずかに歪めていく。 主人公は、彼女との時間の中で、自身の記憶や認識が次第に曖昧になっていくことに気づく。過去は輪郭を失い、未来は想像できない。ただ「今、そこにいる」という感覚だけが異様な密度を持って残る。 病、結婚、国境――現実的な出来事は確かに存在するはずなのに、それらはどこか手応えを持たず、むしろ彼女という存在のほうが現実として重みを増していく。 これは一人の女との関係を描いた物語であると同時に、「自己とは何か」「現実とはどこにあるのか」を静かに問い続ける記録でもある。 彼女と出会ったとき、すでに何かは始まっていた。

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カクヨム
カクヨム2026/07/01
  • 現在の作品由美という存在