あらすじ
毎日ひとつずつ、この世界から「言葉」が消えていく。
昨日まで当たり前に使っていた言葉は、人々の記憶からだけでなく、本や看板、手紙からも跡形もなく消え去ってしまう。やがて人々は話すことさえできなくなり、表情やしぐさだけで想いを伝えながら生きていた。
そんな世界で暮らす老作家・ハルは、世界に残された最後の辞書を大切に守り続けていた。言葉がすべて消える前に、自分が人生をかけて伝えたかった「たったひとつの言葉」を書き残そうと決意する。しかし、その言葉さえも少しずつ記憶から失われていく。
言葉が消えた先に、人は何を残せるのか。
これは、失われていく「ことば」と、それでも最後まで消えることのない「想い」を描いた、静かで切ないファンタジー。