あらすじ
高校二年生・扶桑葵は、ある夜、謎の美女にキスをされ、命を奪われかけた。彼を救ったのは、白い靄から生まれた黒猫――自称『スーパーポジション』、通称シュレ。
「君は一年後に確実に死ぬ。その前に世界を統合するのだ」
葵には、あらゆる世界線で確率の偏りが生じない『ニュートラル因子』が宿っていた。世界の統合を阻もうと、多元世界の隙間に棲む者たちが牙を剥く。
可能性しか持たない少年と、可能性を持てない者たちの、量子心理SFバディアクション。
【世界観と登場人物】
■ 世界観
多元世界(マルチバース)が存在し、人間の選択のたびに世界は分岐し続けている。
しかし世界のキャパシティは無限ではなく、分岐が増えすぎた世界は互いに接触して崩壊し始めている。
この物語は、その崩壊を防ぐために「世界の統合」を目指す者たちと、多元世界の隙間で生まれ存在している者たちの争いを背景に展開する。
基調は量子神秘主義。「観測が世界を決定する」という考え方が物語の根幹をなす。
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■ 登場人物
【扶桑葵(ふそうあおい)】高校2年生
虐待から逃げてボロアパートで一人暮らしをする苦労人だが諦観もある。
祖母(故人)の教えを律儀に守る。卒業後は就職希望だが、就職先の選択肢を広げるため勉学に勤しむ。
「葵」という名前は本来自分のためにつけられたものではなく、両親からは女の子を期待されて生まれたために邪険に育てられた過去を持つ。いわゆるネグレクトで育つが、祖母が心の拠り所であった。
量子論の知識はシュレーディンガーの猫程度だが、非合理なものへの直感的な親和性を持つ。
【特殊能力:ニュートラル因子】
あらゆる多元世界で「常に同じ性格、同じ性別(ただしこの世界を除く)、そして同じ日時に死ぬ」という確率の偏りが一切ない究極の中立存在。
どの世界線でも来年の12月24日20時ちょうど、心臓発作で死ぬという絶対の運命を抱えている。
この因子が世界統合の鍵となる。
【バトル時の特性】
他の世界線では常に女性の姿をとる扶桑葵。この世界だけが男性であるため、ニュートラル因子が最も活発に働く。シュレの能力と組み合わせることで、他の無数の世界線の葵の身体能力や特性を一時的に顕現させることが可能。なりたい自分(ただし女)になれるが、由香の好みで却下もされてしまうという理不尽な制約もある。
【シュレ(スーパーポジション)】黒猫
多元世界の可能性(選択肢)をすべて内包した「重ね合わせの箱」そのものである高次元存在。
葵が「シュレーディンガーの猫か」と連想(観測)したことで黒猫の姿(箱の中身)に固定されてしまった。
そのせいで自分自身の「箱の開け方(世界の統合の方法)」がわからなくなってしまった相棒。
猫の姿である故に、猫舌で寒がり、眠い。
【佐伯由香(さえき ゆか)】高校2年生・葵と同じクラス
物理学にやたら詳しい早口な美人物理オタク女子高生。
量子神秘主義を含む量子力学の知識が豊富で、シュレの起こす超常現象を物理学の言葉で解説するナビゲーター役だが、難解な説明(&早口)が過ぎて葵には理解ができない。もっぱらシュレが一口に纏める。
一見すると清楚な美人。裕福な家庭に育つが両親はほとんど不在。
カワイイものが好き。百合傾向あり。
【セラフィナ・レイブン(通称:セラフィ)】
多元世界の隙間に生まれた「道化」と呼ばれる存在。
世界の統合を妨害する組織「道化の札」の刺客として葵を暗殺しようとするが、葵にキスでトラップを仕込んだ際に「ニュートラル因子」が逆流・感染。
可能性を持たない存在であるはずの彼女に「もし別の生き方があったなら」という感覚が芽生え始める。
【マクスウェル】敵組織幹部
道化の上位階層「第一階層」の存在。セラフィの上位に当たる。
冷酷で実力主義。下層の道化を道具としか見なさない。
赤い瞳と強力な近接戦闘能力を持つ。