あらすじ
「天の道理は、ひたむきに耐え、正しく生きようとする者を、絶対に見捨てない」陰惨な学園カースト。壊されていく少女の心。
──すべてを諦めていた彼女の前に現れたのは、一見物静かな長身の編入生だった。
城東高校。そこは、絶対的な権力を持つ一部の特権生徒たちによって、生徒も教師も支配された、歪んだ檻(カースト)のような学校だった。
桜井幸は、その最底辺で容赦のない悪意に晒され、孤独の中で息を潜めて耐え続けていた。月曜日が来るのが怖い。足がすくみ、息ができなくなるような地獄の日々。
そんな彼女のクラスに、ある日、一人の風変わりな男の子が編入してくる。
彼の名は、郷田たかし。
お寺に身を寄せ、中国からの帰国子女である彼は、物静かで、いつも優しいほほ笑みを浮かべていた。
「僕が、あなたの盾になります」
彼がくれた優しい温もりと、手帳に書かれた『天道酬勤』という四文字。
その言葉を胸に、幸はもううつむかないと心に決める。しかし、そのささやかな抵抗こそが、学園の支配者たちの逆鱗に触れてしまった。
仕組まれた偽の放送。
引き裂かれる思い出。
そして、部活棟の奥にある、逃げ場のない四角いリング(檻)へと拉致される幸。
支配者たちは、完璧に合法的な「部活動のスパーリング」という建前を使い、幸を人質にしてたかしをリングへ誘い出し、全国レベルの怪物ボクサーの拳で合法的に再起不能にしようと嘲笑う。
「来ないで、たかしさん……! でも、本当は……助けて……っ」
矛盾する絶望に引き裂かれ、幸が涙を流したその時、薄暗い道場の鉄扉が静かに開いた。
──彼らが怒らせたのは、ただの大人しい男の子ではなかった。