あらすじ
王太子に婚約破棄された伯爵令嬢ルディア・ルシュフォードは、人々が約束や支度の中で積んだ幸運を契約に基づいて貸し出す「幸運貸し」として、隣国の契約庁で働いている。
ある日、ルディアは「祝福の花嫁」と呼ばれる侯爵令嬢エレオノールの結婚式を監査することに。彼女を迎えるエルゼン公爵家では、婚約後から商談も裁判も不自然なほど良い方へ傾いていた。
だが、花嫁の白いヴェールに反応した黒革の手帳には、婚約破棄された令嬢や支度金を返されなかった娘たちの幸運が、本人の同意なく縫い込まれている記録が浮かぶ。祝福の鐘が鳴る前に、ルディアは手帳を開いた。
「そのヴェールに縫い込まれた幸運は、あなたのものではありません。本来の持ち主へ返していただきます」