あらすじ
婚約破棄、上等。
王太子に「お前は無能だ」と大勢の前で罵られ、婚約破棄を言い渡された伯爵令嬢アリシア。周囲は同情するが、彼女は内心ガッツポーズだった。だってこの婚約、そもそも家のために我慢していただけだから。
せいせいした。これでやっと自由になれる――そう思った翌朝、届いたのは「氷の公爵」と恐れられるレイヴンズ家からの契約結婚の申し出だった。
条件はただひとつ。「亡き妻の忘れ形見である娘を、母として愛してほしい」。
政略結婚に興味はない。でも、あの人見知りな幼女のことは、なぜか放っておけなくて――。
「お母様……本当に、行っちゃわないで……?」
継子に懐かれ、屋敷に馴染んでいくアリシア。だが冷酷なはずの公爵の視線が、なぜか自分だけを追いかけてくる。
「君を、政略結婚の道具になどするつもりはない」
――これは、契約のはずだったのに。