あらすじ
森の中に建つ大きな学園が暗雲に覆われている。轟く雷鳴に驚いた小鳥が木の葉を連れて飛び立ち、幻のように消えていく。まるで嵐そのものが知恵を持ったかのように、激しい雷雨がこの地を支配していった。
厚い雲の切れ間から、かすかに月が見えた。その光が校舎の一角に差し込み、闇は進む。その空間の中で小さく音が聞こえる。コツリ、コツリと一人の足音は徐々に近づいてくる。やがて人影は月の光で照らされた扉の前で止まった。淡い光を放つセンサーに手をかざすと、静かに扉が開いた。部屋に入るとわずかな作動音とともに扉が閉まる。部屋の中には人一人が入れるほどの円柱形のカプセルが、部屋の中央に静かに佇んでいた。だが、その人影はそれを一瞥しただけで通り過ぎ、その先の机へと向かった。引き出しから一冊のノートを取り出すと、椅子に腰をおろし、ペンを走らせる。スピードが速く、数分もしないうちに書き終えたその人影は早々に立ち上がり、部屋から出ていった。
開かれたまま残されたノートの冒頭にはこう書かれていた。
“これはとある少年少女達のーーーー”
この世界では誰もが魔法を持って生まれる。
魔法は一人一つの属性を授けられ、主な属性は火、水、風、土だ。
だが稀にこれ以外の属性を持つものが生まれることもある。
これは、そんな世界にある一つの学園で紡がれる物語。