あらすじ
地球温暖化により溶け出した南極大陸の氷の中から目覚めた、機械生命体【シンセシス】。
人類の半分が死に絶え、文明が崩壊した壊れた世界――。
しかし、かつて生存者ゼロの危険地帯と呼ばれた廃墟の街には、奇妙なほど穏やかで温かい日常があった。
主人公のラルバは、廃墟で優しい父母と暮らす人間の少年。
彼は機械生命体の声を聞き、お喋りが出来るという不思議な力を持っていた。
雨上がりのある日、ラルバは相棒のメラミーと共に、おじいさんトラクターのシンセシス・ダラーが営む農場を訪れる。
ダラーは鳥の世話をしながら農家の真似事をして生きていた。
ダラーの節々についた泥を洗い落としてあげるラルバ、そこへフワフワと飛んできて小言を言うドローンのカダ。
世界がどれだけ荒廃しても、ラルバとシンセシスたちが織りなす日々は、どこまでも優しく、人間の日常を重ねてしまうようなほのぼのとしたものだった。
だが、そんな優しい日常に、外の世界から
政府のシンセシス対策局の新入職員・アカネが、自律型AI車両ロクサーヌを駆り、銃を携え、生存者ゼロとされ危険地帯であるこの街の調査に足を踏み入れたのだ。
人類の凄惨な被害を知るアカネが見たものは、牙を剥く凄まじい化け物の群れ――ではなく、怪物の真ん中で、穏やかに笑いながら対話する一人の美しい少年の姿だった。
「――正気なの? なんで貴方は、化物たちと笑い合っているの?」
「初めまして。うわぁ僕、本物の人間て初めて見たよ!」
壊れかけた世界の片隅で、壊れかけた世界の命運を握る物語が始まろうとしていた。