あらすじ
突如ダンジョンが出現して十数年。
探索者たちは、モンスター討伐、RTA、パルクール、レア素材探しを配信し、バズを競うようになっていた。
そんな中、ダンジョンで超芸術を探す美少女にしか見えない彼の正体は、かつて「血に飢えた狼」と呼ばれた元おっさん探索者だった。
今の彼が夢中なのは、モンスター退治ではなく、ダンジョンに残された謎の廃墟や意味不明な構造物。
行き場のない階段、塞がれた通路、どこにも繋がらない橋。
男の娘ストリーマー・イーブンがカメラを向けるのは、なぜかモンスターではなく、壁と階段と廃墟だった。
コメント欄は今日も言いたい放題。
「また壁を口説いてる」
「純水階段きた」
「ズボン」
イーブンは叫ぶ。
「口説いてねぇ! あと純水じゃなくて純粋階段だ!!」
かつて“血に飢えた狼”と呼ばれた戦闘系探索者は、事故で姿を変え、今ではダンジョンの超芸術を撮って歩く変わり者の配信者になっていた。
戦える。
でも、できれば戦いたくない。
今日もイーブンは、バズとロマンを求めて、ダンジョンの片隅に残された変な遺構を探しに行く。
――もっとも、ダンジョンはそんなに優しくない。
※ カドコミ漫画原作コンテスト【ナツガタリ'26】参加作品