あらすじ
かつて水泳選手だった神代怜司は、怪我と借金によって競技人生を失っていた。優勝賞金五百万円が懸かった「潮見オープン・スイムチャレンジ」を知った怜司は、偽名「白瀬澪」を名乗り、女子二百メートル自由形への不正出場を決意する。
外見や声を整え、過去の自分を消したつもりで会場に立つ怜司。しかし、水の中でだけは隠しきれないものがあった。彼の泳ぎには、かつて男子選手として戦っていた頃の癖が残っていたのである。
怜司の異変に気づくのは、実力派のライバル・立花真緒。真緒は怜司を嘲笑するのではなく、競技の公平さと、真面目に泳いできた他の選手たちの努力を守ろうとする。
勝利に近づくほど、怜司の偽りは崩れていく。ウィッグ、メイク、体形を整えるための衣類、そして「白瀬澪」という名前。すべてを失ったとき、怜司は初めて、自分が奪おうとしたものの重さを知る。